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It believes



ようやくこれで解放される・・と思っていたのに、エドの身を貫く楔が抜かれることは無かった。

「畜生、いい加減、離しやがれっ・・!」

喚きながら、胸板を叩く。大量に放たれた体液が腸内に満ちて、苦しくて気持ち悪かった。いつもなら、不快であると共に悦びでもある感触・・でも、これはリンであって、リンではなくて。
目の前でその変化を見ていたのだから、よぉく分かっている筈なのに、見せしめのようにその身体に犯されて・・アルやあのクソジジイらの目の前であることも忘れて、無我夢中で貪りあってしまった。それに対する恥ずかしさが、今さらのようにこみ上げる。

「抜け、バカッ、中・・このままじゃ腹こわすだろーがっ!」

「もう少シ、我慢シろ・・」

耳許で囁かれ、脊髄に電撃が奔るような衝撃を感じた。

「リ・・ッ」

思わず叫びだしそうになった唇を、口づけで塞がれる。

(気付かないふりシてナ)

声を出さずにそう続け、何事もなかったかのように 、緩やかに突き上げ続ける。

(まだ、完全ジャなイ。でも必ず取り戻ス・・だから、気付かないふりシて、待っテろ)

エドは小さく頷くと、せめてキスだけでもと、唇をゆるめて無言でねだった。舌を絡ませ合い、両手を背中に回してすがりつく。膨満し体重を受け圧迫されて、下腹の痛みはピークに達していたが、必死で耐えて応えていた。

「うっ・・ぐぅっ・・くっ・・がぁっ・・痛っ・・」

嬌声というよりも、苦悶のあえぎだ。エド自身は萎えて反応しそうもない。それでも指に、リンの白いブラウスの前身ごろを絡めて、しっかりと握りしめていた。



「人柱でなければ、もうひとつ空いてる色欲の席につけてやるところだな」

“お父様”は目の前の痴態に飽きてしまったのか、眼を逸らす。
エンヴィーは最初から「見たくない」と顔を背けていたのだが、ふと、妙な胸騒ぎを覚えて振り向いていた。
あれ・・グリード・・じゃない? まさか・・?

「いっ・・糸目の?」



(ヤバッ・・いっぺン、戻るワ。じゃぁナ)

「そんな・・次、おまえ、いつ・・!」

ニヤッと笑って、悲鳴をあげかけたエドの頭を胸に抱え込み、ギュッと抱き締める。
そう「次」なんて、ないかもしれない・・だが、敢えて「ある」と信じたかった。自分のためにも、待たせている者のためにも・・エドだけでなく、ランファンや故郷の人々のためにも。
バカッ、苦しい、よせっ・・などと暴れているエドの身体を、その質量と熱を全身に感じながら、引き絞っていた矢を放つ。
意識を奪われるまでの間、エドの体内に留まって、びくびくと痙攣するその感触を味わっていたかったが、あまり苦しめるのも可哀相なので腰を引いてやった。

「あ・・やぁっ・・やだ・・ァ」

嫌だというのは、リンともっと番っていたかったということなのか、栓を抜かれた途端に、汚物混じりの体液をごぼごぼと音を立てて排泄してしまったことに対する言葉だったのか。

「ちぇ、きたねーなぁ・・かかったらどーすんだよ。オイ、これで満足かよ、親父殿?」

・・やがて、そう吐き捨てて起き上がり、エドの手を乱暴に振り払ったリンは、既に“リン”ではなかった。




「・・にっ・・兄さん、大丈夫!? てっ・・ティッシュ、ティッシュ・・」

エンヴィーに押さえ込まれていたアルが、ようやく重たいその異形の身体を振りほどいて、ぐったりとしている兄に駆け寄る。

「持ってないの? あーもう、ハンカチとティッシュはちゃんとポケットに入れておきなさいって、母さんがいつも言ってただろ!? いつでも錬成できるからって、横着してるから・・ああ、どうしょう!?」

「うっせーなぁ。アルのフンドシ貸せ」

「やだよ、汚いじゃないか!」

「お前の好きなリンのだぞ」

「そういう問題じゃないもん」

「あのなぁ・・アル・・」

リンが戻って来れるかも・・と言いかけて、やめる。
アルを安心させてやりたい気持ちもあるが、ここは自分の胸だけに留めておいて・・そのときを待った方がいい。

「・・なに? 兄さん?」

「あっ、えーと、その・・エンヴィーにトイレットペーパー無いか、聞いてきてくれ」



【後書き】・・なんじゃこりゃ?

えっと・・エドがあまりにも小生意気なことを言って暴れるので、お父様がリングリに「ヤっておしまい」と命じた・・というシチュエーションだということで。

おかしーなぁ、 当初は、リングリ×乙女海老の話(リンの身体なんだけど、ホントは違うって分かってて、でも気付かないふりしながら抱かれて、嬉しいんだけど虚しいような・・っていう、ちょっと切ない系)を考えていたはずなんですが、それも難しいなーと思って、だったら女体別館の外伝として「女体化してパニックに陥っているリングリを、海老が『こっちでもいーや』って襲っちゃうコメディ」というのを思いついて・・そのうちに女体別館の「えっちをして精を受けたら、女体から元に戻る」という設定から発展して「イったらリンとグリードが入れ替わる」というのはどうだと・・バカ丸出しです。おいらの脳内、どんだけ腐ってるんだ!?

そこで思いついたのが、このSS・・でも既に「えっ!?イったら入れ替わるの!?」と言って、イかせてしまおうと迫る乙女海老と、リンに戻ったらイかせたくない・・と、輪ゴムで根元を縛ろうとするド腐れエドが、すでに思い浮かんでいたりする私。
初出:2005年12月17日

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